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人は何故ソーシャルメディアでシェアするのか?有名な実験や事例から考える
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企業のマーケティング担当者の中には、ソーシャルメディアの運用・活用に悩んでいらっしゃる方も多いかと思います。
どうすれば自社のアカウントに人を集められるのか?どうすれば効果的なプロモーションが行えるのか?
答えはそれぞれのプロジェクトによって異なりますが、他の成功した事例を知ることは、答えを導くのに大いに役立つのではないでしょうか。
そこで今回は、先日開催させていただいたマーケティング事例ナイトvol.10にて弊社代表の窪田がお話しした、ソーシャルメディアに関する興味深い海外の事例・実験についてご紹介したいと思います。
悩んでいる方をはじめ、ソーシャルメディアの運用に関わっている方はぜひ参考にしてみてください。
※「マーケティング事例ナイトvol.10」全体のイベントレポートは以下の記事でご紹介しています。
目次
人は何故ソーシャルメディアでシェアするのか?参考になる2つの実験
ラブマティカリー(Lovematically)
ラブマティカリー(https://fueled.com/lovematically/)
もし、自分のSNSの投稿すべてに「いいね」がついたら、人はどんな気持ちになるだろう?
それを実験したのがラミート・チャウラ氏です。
彼はラブマティカリー(Lovematically)という、Instagramページに表示されるすべての投稿に自動的に「いいね」をするサイトを作り、実験を行いました。
すると、3ヶ月後に以下のような変化があったそうです。
- フォロワーが2700人増加(1日あたり約30人)
- 自分の投稿に対するいいねを平均で35獲得
- 3つのパーティに招待された
ユーザーにとってソーシャルメディアにおける「いいね」は非常に重要であることがわかりますね。
また、心理学における返報性の原理(人は何らかの好意や施しを受けると、それを相手に返したくなるという心理のこと)が、この場でも作用していることがわかります。
よくソーシャルメディアに中毒性があると言われるのは、こういった感情が揺さぶられるようなことがあるからかもしれません。
クリスマスカード実験
もう一つ、興味深い実験を紹介します。
1970年代、社会学者のPhillip KunzとMichael Woolcottが、見知らぬ600人の人々にいきなりクリスマスカードを送ってみたという実験です。
この実験の結果ですが、やってみると、何と1/3の200人から返事を得ることができました。
また、以下のような法則があったとのことです。
- 高品質なカードの方が返答率が高かった(高品質なカードは返答率が約30%だったのに対し、低品質なカードは約15%だった)
- 送り主の社会的地位が高い方が返答率が高い傾向があった(ドクター&ミセス Kunzと書いて送ったカードの方が返答率が高かった)
この実験についても、前述のラブマティカリー同様、コミュニケーションの中で返報性の原理や互恵性(お互いに利益を与え合うこと)が作用していることがわかります。
これはソーシャルメディアの事例ではありませんが、ソーシャルメディアでも同じことが言えそうですね。
スターバックスのソーシャルメディア活用事例
続いて、企業の公式アカウントのソーシャルメディア活用事例を紹介します。
日本でも有名なスターバックスは、ソーシャルメディア上で #RedCupContest という取り組みを行っています。
これは、UGC(ユーザージェネレーテッドコンテンツ/ユーザーが作成するコンテンツ)の一つで、ユーザーの投稿を活用した事例です。
きっかけは、あるユーザーが、Instagramにスターバックスの赤いカップが写ったお洒落な写真を投稿していたこと。
その写真を、ある日スターバックスの公式アカウントがピックアップして紹介しました。
そのことにより、ユーザーは自分の写真が公式アカウントに紹介されていることを喜んだり、自分の写真も紹介して欲しいと思ったり、他のユーザーの写真を見て自分もお洒落な写真を撮りたいと考えたりします。
エンゲージメントが高まり、良い循環が生まれていきます。
また、BMWでも同様に、ユーザーの愛車の写真をピックアップする取り組みを行っており、こちらもユーザーにとても喜ばれています。
まさかのブレイク!意外なところから一気に有名になった2つの事例
NuggsforCarter
https://twitter.com/carterjwm/status/849813577770778624
NuggsforCarterは、何気ないやり取りが一大キャンペーンとなった非常にユニークな事例です。
きっかけは、ウェンディーズのチキンナゲットが大好きな一般人のカーター氏が、Twitterでウェンディーズの公式アカウントに対して送った質問。
「何リツイートされたら一年分の無料ナゲットくれる?」
この問いに、ウェンディーズは意地悪にも「1800万」と返答しました。
通常ならここで諦めるところですが、カーター氏は諦めず、「HELP ME PLEASE. A MAN NEEDS HIS NUGGS(助けて下さい!ある男がナゲットを必要としています。)」というツイートと共にリツイートを募り始めました。
当時フォロワーはたった138人だった彼の無謀な、しかしユニークな取り組みに、世界中が反応。
Microsoftの公式アカウントもAmazonやGoogleの公式アカウントを誘いながら支援します。
https://twitter.com/Microsoft/status/850454620136546304
更にユナイテッド航空も、「もし1800万リツイート達成したら、どの場所のウェンディーズでも無料で運ぶよ」とカーター氏を支援。
ナゲットを食べたいという単純な動機にも関わらず、世界中の企業を味方につけてしまいました。
リツイート数はぐんぐん伸び、たった35日で世界リツイート数ランキングNo.1を達成。フォロワーも10万人を突破しました。
2017年11月現在のリツイート数は363万で、まだナゲットはもらえていませんが、今も世界中から注目されています。
Rebecca Black「Friday」
https://www.youtube.com/watch?v=kfVsfOSbJY0
Rebecca Blackの歌う曲「Friday」は、有名コメディアンに
「別に誰もが曲を作れるわけじゃない」と強烈に罵倒されました。
そこから「史上最低の曲」等、様々な批判を受けましたが、注目されたことをきっかけに二次創作ブームが発生。
一大センセーションを巻き起こし、YouTubeの公式動画は再生数1億を突破。iTunesのシングルチャートで45位を記録するなど、異例の大ヒット作となりました。
ユーザーが行動を起こすために必要なものとは?フォッグの消費者行動モデル
最後に、フォッグの消費者行動モデルというものを紹介します。
これは、ユーザーが行動(Behavior)を起こすためには、
- 動機(Motivation):行動を行いたい理由
- 実行能力(Ability):行為を実行可能な諸条件
- きっかけ(Trigger):やろうと想起する瞬間
の3つが必要であり、B=MATという式で表すことができる、という理論です。
YouTubeマーケティングやバズマーケティング、シェアされるものというのは、大抵この3つを満たしています。
今回ご紹介したNuggsforCarterで言えば、動機は彼のユニークな取り組みに参加すること、実行能力は誰でも簡単に行えるシェア、きっかけは有名企業の参加が挙げられます。
一見何故人気になったのかわからないような事例でも、この式に当てはめてみると、納得できる理由があることがわかりますね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
全てそのまま自社に取り入れられるわけではありませんが、ユーザーの心理を理解することや、斬新な発想で一大ブームを巻き起こす個人や企業の事例には学べることが多くあるかと思います。
ぜひ、御社のソーシャルメディア運用の参考にしてみてください。
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