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どのレポートが数値無しに?セグメントは使えるのか?Google アナリティクスの「データ保持」期間による影響
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小川卓です。ついにGDPRが施行され、Google アナリティクスでの「データ保持」期間も運用が開始されました。今回は、実際にどのレポートが表示されなくなったり、どの機能が使えなくなったりしたのかを紹介していきます。筆者が見た範囲での内容なので漏れがあったらコメント等いただければ幸いです。
データが表示される期間
26か月と設定した場合、26か月以上前よりすべてのデータが見られなくなるわけではありません。しかし、一部データに関しては表示されなくなります。
例えば2018年6月4日現在、データは2016年4月4日まではすべて問題なく表示されています。しかし、2016年4月3日より前は一部データが非表示となります。非表示あるいは削除は日単位で行われているようです。
例)インタレストサマリーレポート
主要なレポートを対象に、表示状況を表にまとめてみましたので紹介いたします。
各レポートの表示状況
レポート名 | 表示 | 備考 |
ユーザー>概要 | OK | |
ユーザー>アクティブユーザー | NG | 該当期間以降は表示(※1) |
ユーザー>コホート分析 | OK | 直近3か月しか元々見られない |
ユーザー>ユーザーエクスプローラー | NG | 該当期間以降は表示 |
ユーザー>ユーザー属性(概要・年齢・性別) | NG | 該当期間が入っていると、該当期間外も非表示 |
ユーザー>インタレスト 配下 | NG | 該当期間が入っていると、該当期間外も非表示 |
ユーザー>地域(言語・地域) | 一部NG | ユーザー数非表示、他指標は表示(※2) |
ユーザー>行動>新規とリピーター | 一部NG | ユーザー数非表示、他指標は表示 |
ユーザー>行動>リピートの回数や間隔 | OK | |
ユーザー>行動>エンゲージメント | OK | |
ユーザー>テクノロジー 配下 | 一部NG | ユーザー数非表示、他指標は表示 |
ユーザー>モバイル 配下 | 一部NG | ユーザー数非表示、他指標は表示 |
ユーザー>ベンチマーク 配下 | OK | |
ユーザー>ユーザーフロー | 一部NG | 一部プルダウン等で数値が出ない |
集客>概要 | 一部NG | ユーザー数非表示、他指標は表示 |
集客>すべてのトラフィック 配下 | 一部NG | ユーザー数非表示、他指標は表示 |
集客>サーチコンソール 配下 | NG | 全ての数値が非表示になります(※3) |
集客>ソーシャル 配下 | OK | |
行動>概要 | OK | |
行動>行動フロー | 一部NG | 一部プルダウン等で数値が出ない |
行動>サイトコンテンツ |
OK | |
行動>サイトの速度 配下 |
OK | |
行動>サイト内検索 |
OK | |
行動>イベント 配下 |
NG | 該当期間より前のデータは閲覧不可(※4) |
コンバージョン>目標 配下 |
OK | |
コンバージョン>eコマース |
OK | |
コンバージョン>マルチチャネル 配下 |
OK | |
コンバージョン>アトリビューション 配下 |
OK |
※1:ユーザー>アクティブユーザー(最初の数日間が0になっています)
※2:ユーザー>地域>地域 (ユーザー数が0になっています)
※3:集客>サーチコンソール>デバイスのレポート(期間は直帰率・ページ/セッション・トランザクション等も0になっています。表示・クリック等は元々期間的にみられません)
※4:イベント>概要>上位のイベント(期間より前はすべて0になっています)
セグメントに関して
セグメントに関しては、セッション単位・ユーザー単位共に使えないようです。セグメントを追加すると、全て対象期間のデータは0として表示されます。対象外のデータは問題無く表示されます。
カスタムレポートに関して
細かくは調査していませんが、「ユーザー系」及び「イベント系」の指標が入ってくると数値が表示されなくなります。例えば以下の曜日×時間帯のカスタムレポートではユーザー数が表示されていません。
この期間では削除対象内と削除対象外の期間両方とも入っていますが、一律表示されません。削除対象外だけの期間にすると、ちゃんとユーザー数は表示されます。
ユーザー系指標とイベント系指標がどの指標かは詳しく調べていませんが、代表的なものは「ユーザー」「ユーザーあたりのセッション数」「ユニークイベント数」辺りになります。ちなみに「イベントの発生したセッション数」はセッションに紐づいているため表示されました。また「新規ユーザー数」も実際には「新規セッション数」を意味しているので表示されます。
まとめ
Google アナリティクスの計測への影響を整理してみました。他にも色々ありそうですが、まずはレポートと主要機能という面で確認をしてみました。何かの参考になれば幸いです。
参考記事
【著者プロフィール】
小川 卓(おがわ たく)
ウェブアナリストとして、マイクロソフト・ウェブマネー・リクルート・サイバーエージェント・アマゾンで勤務後、フリーに。複数社の社外取締役やデジタルハリウッド大学院の客員教授として活動.。コンサルティング・勉強会・執筆に従事。
主な著書に「ウェブ分析論」「ウェブ分析レポーティング講座」「漫画でわかるウェブ分析」「Webサイト分析・改善の教科書」「あなたのアクセスはいつも誰かに見られている」など。
※KOBITブログでは、毎月1~2本程度、小川卓さんに記事を寄稿いただいております。
どれも興味深い記事となっておりますので、ぜひ他の記事もご覧下さい。
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