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[ 文字の歴史2】 セリフ書体
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目次
はじめに
前回は文字の歴史を牽引した西洋式の印刷の歴史についてご紹介しました。
今回は有名なセリフ書体について歴史とともにご紹介していきます。
セリフ書体
セリフ書体は古代ローマの石に刻まれた言葉から来ています。
石に書かれた文字を彫刻家がなぞり掘られたもので、石に刻まれる際に線の橋を綺麗にするように線の切れ目部分にアクセントがつけられたものを指します。
「セリフ」は文字のストロークの端にある飾りを意味しており、そのセリフを持つ書体をローマン体と呼びます。
セリフフォントはサンセリフ(セリフ以外)よりも読みやすいと考えられていたため、その影響で本文などで広く使用されています。
セリフには4種類のスタイル分類が存在します。
1.オールドスタイル(Old style)

初期から使われているセリフ書体のスタイルです。
太い箇所と細い箇所の違いが少なく有機的な外観をしていて、左傾斜の曲線軸を持ちます。
優れた読みやすさを持つオールドタイプは、いまだに本文の設定などで人気のある書体です。
このオールドスタイルは1530年以降、ヨーロッパの至る所で急速に普及しました。
2.トランジショナルスタイル(Transitional style)

トランジショナル(バロック)式のセリフ書体は、18世紀中旬から19世紀初頭に普及し、一般的となりました。
このトランジショナルはオールドとモダンフォントの間にあるため、トランジショナル(移行)という名がつけられました。
太い箇所と細い箇所の違いがオールドスタイルよりは目立ちますが、ディドンスタイルほどではありません。
Rに丸まった尾がついていて、多くのストロークの端はボールのような丸い終端が付いいています。
移行期の書体などで、Didoneの景況を受けているものも中には存在します。
3.ディドンスタイル(Didone style)

18世紀後半に登場したディドン書体(現代のセリフ書体)は、太い箇所と細い箇所の極端な差が特徴です。
このディドンの書体は、縦は太く力強く、横のラインはとても細いです。
この書体はそのほかのセリフ書体に比べ読みにくいと考えられています。19世紀頭の印刷において非常に優位に立っていました。
4.スラブセリフスタイル(Slab serif style)

スラブセリフ書体は、1817年頃に登場しました。
ポスターなどで目を引くようにと作られた書体ですので、非常に太いセリフがあり、太い箇所と細い箇所の違いもほぼありません。
セリフの部分もほかの線幅と同じくらいの太さの傾向があります。ストローク幅の変化については幾何学的デザイン要素を持っています。
初期のスラブセリフは、ポスターを対象としていたため、小文字は全くありませんでした。
まとめ
今回はセリフ書体について形の特徴を歴史を挟みつつご紹介しました。
セリフの中にも種類があり、それぞれが特徴を持っています。
中には使用目的があって生まれた文字もあったりなど、歴史を知ることで見えてくることもあるかと思います。
著者:MainYard Design(メーンヤードデザイン) 北野敦子
1987年大阪出身。
生活する上で必ず目にするデザインされたものたち。 街を歩くだけでも無限の魅力があふれています。 ある日ふとそれらに魅了され別業界からデザイナーへ転身。 関西を中心にグラフィックデザインからブランド戦略提案などを展開中。
2012年タイポグラフィ作品展「OKU-2」出展。第31回読売広告大賞協賛社賞受賞。
※KOBITブログでは、定期的に北野敦子さんに記事を寄稿していただいております。
デザインに関するものを中心に、役立つ記事を数多く提供していただいておりますので、ぜひ他の記事もご覧ください。
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