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今のうちに知っておきたい「越境EC」、成功のポイントは?

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「爆買い」に代表されるように国外富裕層の購買意欲には驚かされます。人口縮小などの課題を抱える国内消費に比べて、海外の消費者に大きな機会を感じる人もいるでしょう。ネット環境の世界的な普及もあり、国際的なEコマース「越境EC」が話題を集めています。しかし、外国語のEコマースサイトさえ作れば、数億人を数える欧米・アジアの消費者へ販路を拡大できると考えていませんか?越境ECを成功させるには、様々な課題をクリアする必要があるのです。

世界はまだまだ「フラット化」していない

越境ECは日本経済を活性化させる切り札として推進されています。経済産業省は、特に中小企業に対して越境ECを成功させるための市場調査やWebサイト翻訳の支援・助成金提供などを行ってきました。実店舗などを海外に設けなくても、日本の高品質な製品や独特な文化を少ないコストで展開できるため、越境ECは大きな利益をもたらす可能性を秘めています。

越境EC市場は加速を続けています。2018年には3070億ドルを超えると言われ、多くの企業が越境ECに参入すると見られています。市場拡大を牽引するのは、新興国におけるインターネット普及と中間層・富裕層の拡大です。中国人などのインバウンド観光客が日本を訪問した後に、気に入った商品をインターネットで購入するといった使い方も考えられ、積極的な越境ECの利用が期待されています。

越境ECは機会だけでなく、課題もあります。文化や商習慣、利用する技術の違いなどによって思わぬ問題に出くわすケースもあるでしょう。例えば、中国には以下のような障壁があります。

  • 中国ではGoogleが使えないので、これまでのSEOは効果が無い
  • 中国国内の検索エンジンでは、中国の法人登録番号を重視するため、SEOが困難
  • 中国には偽物が多いため、チャットでの確認が多く、また、商品購入に慎重
  • クレジットカードよりもAlipay(アリペイ)での決済が一般的
  • 規制が多い複雑な物流システムにより、配送コストが高い

中国ほど複雑ではなくとも、それぞれの国に固有の状況があるため、闇雲に越境ECを始めても、大きな利益を上げる見込みは高くありません。越境ECを成功に導くには、どのような点を考慮すればよいのでしょうか。

越境ECで成功するための7つのポイント

製品と市場の一致

「プロダクト・マーケット・フィット」は新規事業を始める際に、必ずチェックするべき事項です。国や地域によって人気のある商品は異なります。国外の消費者がわざわざ日本の会社に注文するのですから、相応の理由がなければ購入には至らないでしょう。例えば、カメラ・時計・電気製品などの高品質な日本ブランドは世界中で好まれます。アパレル製品は体形の似ているアジア諸国で人気でしょう。また、中国では転売目的で人気商品を大量購入するケースもあるようです。

現地の情報

市場情報を知るには現地の声が重要です。人気商品はもちろん、販売チャネル・広告プロモーション・決済・物流など、様々な情報が必要になります。越境ECでは現地法人を設立するわけではないので、自分で情報収集を行わなければなりません。Freelancer.comなどのクラウドソーシング・サイトを活用し、進出先の国について詳しい人に質問する方法があります。

販売チャネル

越境ECを始めるには、いくつかの方法があります。

  • 日本国内で外国語サイトを構築
  • 日本国内ECサイトの海外対応版に出店(楽天など)
  • 海外ECサイトに出店(中国Tmallなど)
  • 海外で独立したサイトを構築

国内・海外で自社サイトを構築する場合、自由度は高くなりますが、決済などの煩雑な仕組みを全て組み入れるため、調査・開発コストも高くなります。ECサイトに出店する場合、簡単に始めて、訪問者を増やすチャンスも広がりますが、手数料が高く、自由度も低くなります。

プロモーション

Web広告出稿やSEOを行うには、進出先における興味・関心を理解する必要があります。日本では、画像を作成したり、検索キーワードを特定したりするのも一般的になっていますが、それを現地の言葉で行うのは、かなりの困難が伴います。タガログ語でAdWords広告を作成する作業が想像できますか?広告エージェントとの提携を視野に入れてもよいでしょう。商品名やキャッチコピーを見直したり、ユーザーの声を集めたりして、より良い広告キャンペーンが展開できるようになります。

決済

ECサイトでは安全で便利な決済手段の提供が肝です。クレジットカードはもちろん、アメリカではPayPal(ペイパル)、中国ではAlipay(アリペイ)など普及したサービスを上手に利用すると良いでしょう。また、為替レートについて考慮が必要です。ECサイトに10ドルと表記した場合、為替が変動すると、日本円での売り上げが変動してしまいます。さらに、条件によっては消費者が関税を支払う必要があるため、関税に対する注意書きをECサイトに記載することが推奨されます。

物流

海外に荷物を送るには日本郵便のEMSや、FedEx、DHL、UPSなどが一般的です。その他にも「転送コム」などの発送代行サービスが物流に関する不安を軽減してくれます。転送コムは無料で世界84か国への発送代行をする会社です。海外からのWebサイト訪問者に対して転送コムのバナーを表示するだけで、発送に関する作業は全てアウトソースできるのが魅力です。

カスタマーサポート

Webサイトの文言は翻訳して終わりかもしれませんが、カスタマーサポートは即時の対応が求められるため、さらなる言語スキルが求められます。特に、中国などではメールよりもチャットでの対応が好まれるという背景もあり、進出先の言語に精通した担当者を雇わなければいけない可能性もあります。「Zopim(ゾピム)」のような自動翻訳機能を持ったチャットシステムを導入すれば、カスタマーサポートのサービス向上が実現できます。

まとめ

越境ECは日本経済の起爆剤として、これから伸びていく分野です。現地の商習慣や代行サービス、新しいWeb技術などを十分に検討すれば、越境ECでビジネスを大きく拡大させるのも夢ではありません。

参考文献


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