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コンバージョン率最適化のステップ〜Part4:CRO成熟度モデル
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CRO、コンバージョン率最適化のステップについて紹介してきました。
これまでのコンバージョン率最適化のステップの記事
コンバージョン率最適化のステップ〜Part1:良いコンバージョン率を定義する
コンバージョン率最適化のステップ〜Part2:ファネル分析による課題発見
コンバージョン率最適化のステップ〜Part3:CRO施策のポイント
しかしこれらのプロセスは、一朝一夕に確立できるものではありません。仮説をいかに立てるか、A/Bテストのデザインをいかに作成するか、取得したデータをどのように解析するか。それぞれにノウハウがあるため、CROに不慣れな企業ではすぐに成果が得られない場合もあります。
CROへの取り組みを体系的にまとめたのが、CRO成熟度モデルです。CROに必要な7つの要素を定義し、それを如何に満たしているかをベースにして5段階の成熟度を定義しています。
この7つの要素とは、人材、ノウハウ、活動、検証方法と頻度、プロセス、ツールの利用、スポンサーの7つです。また、5段階の成熟度は以下のように定義付けられています。
- 最適化の開始
- 場当たり的な仮説検証
- 定期的な仮説検証と目標の設定
- データに基づいた最適化
- CROが会社のDNAの一部
今回は、7つの要素の詳細についてと、各要素の5段階の成熟度別の状態について説明します。
目次
CRO実施に必要な7つの要素
まずは、7つの要素について詳しく説明していきます。
人材
CROを実施する人材の質と量は、CROの成否を大きく分けます。どんなに優秀なツールを導入しても、それを使う人間がいなければ意味がないからです。分析、検証、デザイナー、フロントエンド開発のそれぞれを担う専門家が必要になります。
ノウハウ
人材と関連し、特定のノウハウを組織が有していることがCROには欠かせません。Eコマースの業界知識、Web解析の手法、解析結果を理解し改善案を考案するスキルなどが必要です。一人の人間が全てを網羅するのは難しいため、チームとしてノウハウを理解していく態度が望ましいでしょう。
活動
CROを改善するために、定量的・定性的な検証活動を定期的に行っていますか?ファネル分析を始めとする定量的な手法や、ユーザビリティ・テストやアンケートを使った定性的な手法など、行うべき活動は無数に存在します。CRO施策の成熟には、これらの活動の質と頻度が問われます。
検証方法と頻度
A/Bテストを使った検証はCROの主要な活動の一つなので、検証方法の質と頻度がCRO成熟度を大きく左右します。行き当たりばったりに検証するのではなく、体系立てたロードマップを持って、計画的な検証活動が求められます。
プロセス
プロセス 優れたプロセスは、それだけで大きな価値があります。CRO活動において、主要な部門間のコミュニケーションに問題はありませんか?検証のロードマップや検証結果は、どのように扱われていますか?上手く構築されたプロセスは、長期的に見て、CROに大きな影響を与えます。
ツールの利用
現代のCROではツールの利用が欠かせません。Google Analyticsのようなアクセス解析ツールを中心に、アンケート、ヒートマップ、A/Bテスト支援などが挙げられます。一般的に、より高度なツールを使いこなせる企業が、よりCROに成熟した企業と言えます。
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CRO活動を支援する人間は誰でしょうか?経営陣など、より上位のメンバーがCROへ真剣に向き合うようになれば、予算の獲得や人材の確保などを通して、CRO活動はより推進されるようになります。
成熟度合い別の各要素の状態
次に、成熟度ごとの各要素の状態を見ていきましょう。
LEVEL1:最適化の開始
人材 | オンラインマーケティングの担当者(CRO専任がいない) |
ノウハウ | 基本的なオンラインマーケティングの知識を有する |
活動 | 最低限のトラフィック解析、及びコンバージョン解析、売り上げレポートの解析 |
検証方法と頻度 | 確立された検証方法は存在しない四半期に1-2度程度 |
プロセス | なし |
ツールの利用 | アクセス解析ツールを利用 |
スポンサー | なし(担当者が個別にCROを実施) |
LEVEL2:場当たり的な仮説検証
人材 | パートタイムでCROを担当する人材がいる |
ノウハウ | CROの基本的な知識を有する |
活動 | 高度なトラフィック解析、及びコンバージョン解析、ユーザー・エクスペリエンスの基本的な検証 |
検証方法と頻度 | 場当たり的な検証月に1-2度程度 |
プロセス | 場当たり的 |
ツールの利用 | オンライン検証ツール |
スポンサー | オンラインマーケティング責任者 |
LEVEL3:定期的な仮説検証と目標の設定
人材 | フルタイムでCROを担当する人材がいる |
ノウハウ | CRO、ユーザーエクスペリエンス、アクセス解析の専門的な知識を有するコンテンツマーケティング、コピーライティングの知識を有する |
活動 | ユーザー・フィードバック調査顧客セグメントごとの分析競合分析 |
検証方法と頻度 | 定期的な検証活動月に2-3度程度 |
プロセス | 標準化されたプロセス |
ツールの利用 | ユーザー・フィードバックを収集するツールを利用、ヒートマップ等の利用 |
スポンサー | 管理職レベル |
LEVEL4:データに基づいた最適化
人材 | CRO専任のチームが結成されている |
ノウハウ | セグメンテーション、ターゲティングの知識を有するユーザーエクスペリエンス、ユーザー中心デザインのスキルを有する |
活動 | 高度なセグメンテーションとターゲティングユーザーエクスペリエンスの詳細な調査パーソナライゼーション |
検証方法と頻度 | 繰り返しの検証活動月に3度以上 |
プロセス | 最適化されたプロセス |
ツールの利用 | ユーザーエクスペリエンスを管理するツールを利用、パーソナライゼーションを実現するツールの利用 |
スポンサー | 役員レベル |
LEVEL5:CROが会社のDNAの一部
人材 | 大規模なCRO専任のチームが結成されている |
ノウハウ |
経営管理の知識を有する、MBA(経営管理学修士)レベルのビジネススキルを有する |
活動 | チャネルをまたいだ分析と最適化、パーソナライゼーションデータマイニング |
検証方法と頻度 | 規律のとれた検証活動月に6度以上 |
プロセス | 極めて最適化されたプロセス |
ツールの利用 | パーソナライゼーションを自動化するツールの利用、チャネルをまたがった解析と最適化を支援するツール |
スポンサー | 社長レベル(組織全体がCROに注力している) |
まとめ
今回は、ノウハウやプロセスを組織として最適化するためのCRO成熟度モデルをご紹介しました。場当たり的な検証活動から組織化された活動への成熟化が求められます。自社の状態を見極め、それぞれの要素の現状にあった対策を行っていくためにも、このモデルを活用していきたいところです。


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